千鹿頭池物語　　　風と光と鳥たちと　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　

この千鹿頭池物語は、雑記帳に書いた駄文の中から千鹿頭池に冠する部分を抜粋、編集したものです。
思いつくまま、気の向くままの、ふらふらと駄文です。　　　　　　　　　　　。
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８月分　　 １０月分
９月４日　「しろちゃん」災難

夕焼け前　　　２０１２年９月４日　１７時２４分　長野県　松本市

　重い雲が空の８割を覆っていましたが、西の空は開けていました。鳥見の帰り、今日はちょっと綺麗な夕焼けが起こると、経験がつぶやきました。帰宅せねばならない時間帯でしたが、このところ、まともな夕焼けを見ていなかったから、農道に車を止めて、焼ける空が収まるまで見物。
　絶叫したくなるほどの夕焼けではありませんでしたが、久しぶりの夕焼けは綺麗でした。

今日の夕焼け　　　２０１２年９月４日　１８時１３分　長野県　松本市

汚れのついた「しろちゃん」　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

汚れのついた「しろバフ」　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

胸の薄墨様の黒い部分が汚れ。茶色や濃い黒褐色はそもそもの羽衣の色です。

　いつもの池に着くなり、「油が流れ込んで、カモが汚れているのでは」と常連さんが興奮気味。私に確認して欲しいとのこと。いきなりで面食らいましたが、ともかく汚れていそうなカモを選んで撮影し、カメラのディスプレーで拡大して確認。

　普通のカルガモではハッキリしませんが、「しろちゃん」とその子どもの「しろバフ」では、確かに汚れがありました。しかし、この汚れは油汚れではなさそうと思いました。

　何度か油で汚れたカモメなどを見ましたが、油汚れは、こんなさらさら感のある汚れではなく、もっとべた〜と羽衣を貼り付けてしまう感じです。そう常連さんに話しました。水田の泥で汚れたときはこんな汚れ方をします。

　汚れの原因は、恐らく腐食した植物の浮いている、汚れた水の中を泳ぎ回り、採食したからではないかと推測します。
　この夏の連日の暑さ、水面の８割を覆うヒシ、水が流れ込み流れ出てはいますが、池全体を循環するような水流は起きていないと思います。平たく言えば腐った水の部分があり、そこを泳ぎ回ったから汚れたのだろうと推測しました。

　ともあれ、白い羽衣のある他の雑種ガモ、「バニラ」、「しろちゃん」の子ども３羽、「先輩」家族の「色男しろ」「色男バフ」「ちょい色男」みな同じような汚れ方をしていました。せっかくの白くて綺麗な羽衣が汚れてしまって、「しろちゃん」は災難でした。しかし、野生ならこのくらいの汚れ方は普通にしますから。日常生活と言うか、生存にはまず影響ないでしょう。

カイツブリ　ヒナ　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

　カイツブリのヒナの翼はしっかり大人仕様になりました。もう飛べるのではと思うのですが、なかなか飛んでくれません。飛び姿を撮ろうと、高いカメラを買って準備万端なのに。

　カイツブリのおっかさん（カイツブリの雌雄は識別出来ません、悪しからず）は、ただ今換羽中で、全く飛べません。翼の風切羽が一斉に換わるので、翼は例の筆羽、櫛のような状態です。曇天の雲が重く、暗くてうまく撮れませんでしたが、下のような状態です。
　風切羽はすっかり抜けたのに、脇羽はしっかり残っていますから、面白いですね。脇羽はいつ換わるのか、また宿題がひとつです。

　

換羽中のカイツブリ　親鳥　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

カイツブリ　ヒナ　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

　カイツブリのヒナは十分成長し、丸太に上がって、立ち上がれるまでバランス感覚が身につきました。体の大きさに比べアンバランスに大きな足、足の付いている位置が、見慣れた鳥よりもずっと後ろで、これまたアンバランスに見えます。この体型で、丸太乗りが出来るようになったのですから、拍手をいっぱい送りましょう。

　今日の一番は、「しろちゃん」の子ども「しろ並」が飛んだことです。初列風切がかなり伸びていたので、そろそろ飛んでもいい頃と思っていました。今日飛びました。これが初飛行ではなさそうですが、ともかく確認出来て、ノートに１行◎印付きの書き込みが出来ます。

　ちょっと嬉しかったのは、いきなり飛んだ「しろ並」に、ピントがすっと来たこと。鳥撮りにこれまで常用していた７Ｄでは、こうはいきませんでしたから。

飛んだ「しろ並」　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

　下は比較のためのカルガモ。飛んできたので、試しに撮ったのですが、１枚目からビシッと止まりました。大枚はたいたカメラですから、それなりに働いてもらわないと。

　　

カルガモ　♂　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市


９月５日　空への序章　カイツブリが飛んだ日

コガモ　　　２０１２年９月４日　　長野県　松本市

　昨日コガモがいました。早くも渡り鳥がやって来たのでしょう。一見♀ですが、♂なのでは。いわゆるエクリプスではないかと思いました。

　雑種ガモのヒナ達は全羽飛べるようになりました。長距離飛行はまだ無理でしょうが、池の上を移動する程度なら、軽く飛び回れます。

　バンのヒナも飛ぶ気になれば、空へ上がれるでしょうが、今日もまだ羽ばたきながら走っていました。これも飛ぶための練習なのでしょう。

バン　ヒナ　　　２０１２年９月５日　　長野県　松本市

カイツブリ　ヒナ　　　２０１２年９月５日　　長野県　松本市

　カイツブリのヒナも盛んに羽ばたいたり、水面上を走り、熱心に、空へ上がる練習に取り組んでいます。親鳥は２羽とも換羽中で飛べませんから、手本を示すことは出来ません。しかし、カイツブリのヒナも鳥、教わらなくても体内に流れ野生の血が空へ誘うのでしょう。

　今日の午後、ヒナは水面から足が離れ、数ｍですが飛べました。１回目に飛んだ瞬間は、突然だったので、さすがの新兵器でもしっかり捉えられませんでした。
　この幼い飛行が初なのか、午前中にも飛んだのかは分かりません。しかし、今日が、空へ上がった初めての日でしょう。空への序章が始まったのです。初めてカイツブリが飛んだ日とノートに記録しました。

　２羽のヒナが前後して走り出しました。下は後発のヒナが走っている写真です。すでに両足が水面から離れ、飛んでいると言えば飛んでいる状態です。ただ、足が前後に開いているので、まだ、走っているモードです。

　そして、ついに足が２本、後方で揃いました。これは走るモードから飛ぶモードへ切り替わった瞬間です。手前の飛沫は先発したヒナの走った軌跡です。

　やはり、走るより飛ぶ方が速いですね。後発のヒナが先発のヒナに追いつきました。しっかり飛んでいます。軽やかに飛ぶのではなく、落ちないように、必死で羽ばたいていると、レンズ越しに見えました。

　待っていた瞬間に出会えて、今日もいい日でした。それに、カイツブリのヒナが飛ぶ練習をする様は始めて見ましたから、ひとつ勉強になりました。待たされ続けた高いカメラが間に合ったのもラッキーでした。今日の飛行は、遠かったので、次はもう少し近くを飛んだ姿を撮りたいですね。

９月６日　秋の空

雑種ガモ「色男バフ」　　　２０１２年９月５日　　長野県　松本市

　鳥おたくの、物好き話題です。「色男バフ」君、ころあいの距離と姿勢で羽ばたいてくれません。この写真程度ではまったく不満足ですが、ともかく左右で風切羽の色が違うと分かります。初列風切は左翼ではＰ１０ のみが白いですが、右翼ではＰ８〜１０ の３枚が白い。それだけのことですが、左右でこんなにも違う翼を持った鳥さんを見たのは初めてです。真後ろから、もっとしっかりした写真が撮れるまで追いかけるつもりですが、「色男バフ」君が応えてくれるか・・・。

雑種ガモ「色男バフ」　　　２０１２年９月５日　　長野県　松本市
９月７日　珍客

雑種ガモ「色男しろ」　　　２０１２年９月７日　　長野県　松本市

　珍客紹介の前に、昨日の続きです。雑種ガモが羽ばたきました。やった！大喜びで撮影しながら、なぁ〜んだ人（鳥）違いか・・・。
　左右で初列風切の色が違う「色男バフ」君の兄弟「色男しろ」君でした。このスタイルで「色男バフ」君も撮りたいのですが、今日も嫌われました。
　普通、鳥さんは上の「色男しろ」のように左右の翼は同じ色をしています。きっと、いつか「色男バフ」も撮ってやる・・・。

　下は、やはり「色男バフ」君の兄弟「ココア」君です。１ＤＸを使いこなそうと、ともかく向かって飛んでくる鳥さんがいたら練習、また練習。

雑種ガモ「ココア」　　　２０１２年９月７日　　長野県　松本市

　さて、珍客に話題を。千鹿頭池はさほど広くないため池です。池にいる水鳥は、お馴染み雑種ガモがたくさん、カルガモがたくさん、バンの一家族、カイツブリの一家族、たまに来るカワセミが１〜２羽、アオサギ１〜２羽、コサギ１羽です。前に一瞬だけアカガシラサギが１回来ました。

　暇人で鳥馬鹿な私は、毎回、そんな鳥さん達を眺めて、一喜一憂しているのでして・・・。今日は、いつもより早めに池に着き、いつもの観察場所でカメラをセット、さてカイツブリのお子さん達は飛ぶかなと池を眺め回す。すると、白くて小さな鳥が対岸のコンクリート壁の前を泳いでいました。

　何度も見ている鳥さんなので、すぐに識別出来ました。♪〜アカエリがいた！これは珍客。まさか山裾の、山に囲まれたこの池に来るなんて！驚き桃の木、何とやらです。アカガシラサギが来たときもそうでしたが、信じがたい出来事でした。

　例えば、東京の井の頭公園の池にアカエリヒレアシシギが降りたら、ちょっと話題になるでしょう。そのくらい、あるいはそれ以上に、この池では驚きの鳥さんの飛来でした。

　アカエリだけで、６００コマほど撮りました。その中から、ちょっといい感じの写真を並べます。

　まずは、どアップを１枚。背中にグレーの羽（肩羽）が数枚。このグレーの羽は冬羽で、この個体は、幼羽から第１回冬羽に換羽中の幼鳥だと思います。。
　渡りの途中でちょっと道に迷ってしまったのかも。

　

アカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月７日　　長野県　松本市

アカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月７日　　長野県　松本市
　
　飛び上がったら、なんとお腹にヒシの実をぶら下げていました。この池のカモたちも時々胸や腹にぶら下げていますが、この小さな体ですから、さぞや不自由でしょう、出来るなら、取り外してやりたい気分でした。この実、１６時に私が帰るまで取れずじまい、同じ場所にぶら下がっていました。

　この池は食料は豊富ですから、飢えることはないでしょう。飛んでいる虫さんをパクリ。しかし、味が悪かったのか、結局食べずに、水面へプイしました。

　桜の葉が散り、池は若干秋模様。秋模様の写真を２枚。

　今日は、むフフ・・・のラッキーな日でした。
　ある日、ある時、ラッキーが降ってくる、鳥見を続けていると、たまにこんな出会いがあります。何より、自分で珍客を見つけると、本当に、一人むフフ・・・と嬉しくなります。鳥見はやめられませんね。

　アカエリ君、遠くでうろうろしていましたが、なぜか突然に目の前、それこそ数ｍのところへ飛んで来て、降りました。大サービスの一瞬でした。

　飛んで迫ってくる姿を必死で撮りましたが、なにせスズメより気持ち大きいかなくらいの鳥さんです、ピントが全部背後のヒシの原や水面へ行ってしまい、悔しいのひと言。せっかくのカメラなのに。修行あるのみですね。

９月８日　もう一度、アカエリ君

カイツブリ　　　２０１２年９月８日　　長野県　松本市

カイツブリ　　　２０１２年９月８日　　長野県　松本市

　親鳥の翼もだいぶ羽が整いました。まだまだ飛べる状態ではありませんが。幼鳥がしっかり飛べるようになる時期と、親鳥の羽が整い再び飛べるようになる時期がだいたい同じなんて、偶然の一致でしょうか。これは、この池のカイツブリだけの現象なのか、カイツブリ一般に共通なのか、別の親子で確認したくなります。

　めずらしく親子が集合しました。ヒナは４羽いるはずですが、４羽を同時に見るチャンスは、このところありません。いずれ池のどこかにいるはずですが、それぞれがそれぞれに動き回るので、親鳥も含め６羽を同時に見られません。それだけヒナが育ったのでしょう。

カイツブリ　　　２０１２年９月８日　　長野県　松本市

アカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月８日　　長野県　松本市

　これまで出会ったアカエリは１日でいなくなりました。つまり、見つけた次の日にはもういないケースばかりでした。

　昨日のアカエリ君も、もういないだろうと思いながら池へ。雑種ガモの撮影や、飛んでいるカイツブリのヒナの撮影や、まだ宿題がたくさんあり、ひとつひとつ片付けたいので、池通いは当分続きそうです。

　ところが、アカエリ君は気のいいやつなのか、それとも旅の疲れが取れないのか、食料が豊富なのでしばらく滞在するつもりなのか、今日の午後まだいました。これはラッキー、飛んでる姿の撮影にまた挑戦できますから。

　今日も何度か飛びましたが、前触れなく、いきなり飛ぶものだから、レンズで追ってもぜんぜん追いつけません。かろうじてピントがあっても、次のコマはもうピントが背景へ行ってしまう。ともかく、向かってくる飛行の撮影は完敗でした。
　かろうじてピントのあった１枚が上の画像です。昨日お腹にぶら下げていたヒシの実はとれていました。めでたし、めでたしです。

　　

休憩中のアカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月８日　　長野県　松本市

９月１０日　秋は見え

今日の空　　　２０１２年９月１０日　　長野県　松本市

　風の音に「おどろかされぬる」は少し前のこと。空の高みの雲に秋は見えます。通い詰めている池で、はらはら落ちる桜の葉の赤や黄色にも、夏を越してしまい味が落ちたミル引きコーヒーの遠慮がちな香りにも、秋は見えます。夜間に雑記帳を書くとき、通り過ぎる風の涼しさにエアコンは不要になりました。

　とは言え、日中はまだ暑いですね。白露なのに露に光る野辺草はもう少し先でしょう。今日も汗を拭き拭き池の端。

　気象庁の実況天気図を見ると、列島沿いに日本海で延びていた秋雨前線が、ゆっくり南下をしています。前線が太平洋へ抜けると、渡り鳥の飛来も本格化して、体全体で秋を感じられるでしょう。

　アカエリヒレアシシギはよほど池が気に入ったようで、まだ逗留していました。今日で４日目です。
　遠目には何事も見えないのに、突然アカエリは飛び、採食場所を変えます。その原因がひとつ分かりました。池には大きなコイがいて、アカエリの足の辺りでパクリとやります。アカエリを飲み込みはしないでしょうが、足くらいは引っ張られたのでしょう。驚いたアカエリが飛んで逃げました。

　

アカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月１０日　　長野県　松本市

マガモ　♀　　　２０１２年９月１０日　　長野県　松本市

　この夏一度も見かけなかったマガモが１羽いました。やはり、秋なんでしょう、マガモがやって来ました。新たな出来事と言えば、これだけでしょうか。松本平には越夏するマガモがたくさんいますので、画像のマガモが遠くから渡って来たのか、ちょっと移動しただけなのかは分かりません。

　飛んで来るアカエリをなんとかしようと思っていたけれど、撮影可能な範囲を飛んでくれず、今日もひたすら待ちぼうけ。

　下の「ココア」の写真を、事情を全然知らない方に、変なカモを見つけたと見せてみようと・・・悪戯心が。よほどカモ通の方でも、マガモの黒変個体かしら、なんて言うのでは。

　「しろちゃん」か「バニラ」の飛んでいる写真を見せて、松本平では、白アヒルも空を飛ぶんだ、なんてうそぶいてみようか・・・。
　暇だと、頭の中に、ろくでもないことしか浮かばない、困った脳みそです。

　

雑種ガモ「ココア」　　　２０１２年９月１０日　　長野県　松本市

雑種ガモ「しろちゃん」　　　２０１２年９月１０日　　長野県　松本市

　バンのヒナ「子バン」は、十分飛べるはずですが、やはり種に受け継がれる習性に従うのでしょう、羽ばたいて走りますが、空へは上がりません。飛んだ方が絶対に速いと思うのですが、一歩ごと沈むヒシの上を、懸命に走っています。「子バン」の飛ぶ姿の撮影も、まだ宿題のまま。

　秋が見えると、遠出のシギ見がしたくなります。その方面のブログやＨＰはなるべく見ないように、見ると爆走したくなりますから。池での宿題はたくさん残っていますが、でもシギ見に出かけたいし。「秋は見え」は「秋は三重」と掛詞でして・・・「家政婦の三田さん」でも探さなくては。

　長逗留で楽しませてくれたアカエリ君に敬意を表して、トップの写真をアカエリ君にしました。本当は飛んでいる写真にしたかったのですが、秋色で。（トップに使った画像は今日のラストの画像です）

アカエリヒレアシシギ　　　２０１２年９月７日　　長野県　松本市
９月１４日　花盗人

水浴びする　カイツブリ　幼鳥　　　２０１２年９月１４日　　長野県　松本市

　新聞のコマーシャルに「ヒトは、本を読まねば　サルである」ですって。そう言われてみると、最近じっくり本を読んでいない。必要な部分だけ拾い読みはするけれど、じっくり一冊を読むなんて久しくしてない。

　日常の雑事、鳥見に３時間ほど、メモをノートに整理して、雑記帳を書く前に今日撮影した画像の整理をして、新聞を流し読みして・・・、そんなんで、ほとんど２４時間が埋まってしまう。本の時間をどこから引っ張り出せばいいのだろう。

　今日は、何も考えなかった。いや、何を考えたか思い出せない。これだと「サル以下」だろうか。毎日額にしわを寄せて、思索にふける必要はないと思うが、さりとて、頭の中が空白のままでは、ちょっと寂しい。

　昔、どこかの和尚さんに「無事是貴人（ぶじこれきじん）」なる禅語を教わった。なすべきことがない人が貴く、悟りや救いを求めてあれこれ探し回る人は間違えている。真の境地は己の内にあるのだ・・・ということ、だったと思う。

　２４時間の切り分け方で、おたおたしているようでは、とても、とても真の境地どころではなさそう。「貴人」でなくても、ごく平凡でいいのだけれど、平凡の内容が問題ですよね。

　「無使名過實　守愚聖所臧（名をして実に過ぎしむること無かれ　愚を守るは聖のよみ＝実力以上の名声を求めず、愚か者の本文に甘んじることは聖人も良しとしている）」なんて。これを平凡とは言わないでしょうが、まぁ、サル以下にならないように噛みしめてみたいですね。

　何も考えなかった埋め合わせに、夜中に、分かったような、分からないような繰り言を思い出し。そう、眠たくなって、魂の半分があっちの世界へ飛んでいる時、何やらいいこと思いついたりして。けれど、明日の朝にはさっぱりと忘れているだろうから、やっぱりサル並みかな。

　

水浴びする　カイツブリ　幼鳥　　　２０１２年９月１４日　　長野県　松本市

羽ばたく　カイツブリ　幼鳥　　　２０１２年９月１４日　　長野県　松本野市

　カイツブリの幼鳥も一人前になりました。半分溺れそうに見えた水浴びも、今では親に負けないりっぱさで。「ペンギン立ち」して羽ばたく姿は親鳥に少しも劣りません。

　浮島の繁茂する雑草の中に潜み、ほとんど出てこなかったバンの幼鳥も、最近はヒシの原で親鳥同様に採食をしています。

　ヒシの原で、バンはヒシの花を食べます。花盗人としておきましょう。一面に咲いている花を片っ端から食べるのではなく、ときどきつまみ食いをします。幼鳥も同様に花を食べます。水上に咲いている花のこともあれば、水中にある花芽をついばむことも。

　花以外にもヒシの葉の下にくちばしを入れて何かを食べています。動物質の、例えば昆虫類ではないかと想像しますが、何なのか分かりません。何を食べているのか知りたくて、大量に撮影しましたが、何も写っていなくて、正体不明のままです。これも宿題か。

　花泥棒は窃盗ですから、許されませんが、迷惑者のヒシの花を食べても怒る人はいないでしょう。カモたちもごそごそ食べていますが、そんなことで根絶やしにされるほどヒシはひ弱ではありません。もっとどんどん食べて、ヒシが実らないようにしたら、バン君の評価も上がるでしょうが。頑張れ花盗人。

ヒシの花を食べる　バン　成鳥　　　２０１２年９月１４日　　長野県　松本市

ヒシの花芽を食べる　バン　幼鳥　　　２０１２年９月１４日　　長野県　松本野市

９月１５日　悪ガキ

カワセミ　幼鳥　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市

　カワセミの幼鳥です。この子は特に悪ガキではありません。でも、何とか撮影しようと頑張るカメラマンさんの裏をかき、カメラマンさんが右に行けば左へ、左に行けば右へ飛ぶ、ちょっとだけ憎たらしい子です。

カイツブリ　幼鳥を追い出す親鳥　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市

　もう、カイツブリの親鳥は一切食べ物を与えません。幼鳥が近くにいても、素知らぬ顔です。時には親鳥同士、つまり番で鳴き交わしています。

　しかし、いまだに甘ったれ幼鳥は、甘ったれ声を出して親鳥に近づこうとします。ある距離までは親鳥も無視していますが、近づき過ぎると追いかけるというか、自分の周辺から、すごい剣幕で追い出します。幼鳥は必死で逃げますが、しばらくすると親鳥の近くへ戻って浮かんでいます。

　一日中上に書いた行動をしてのではなく、しばらくすると、幼鳥は単独でヒシの原で食料探しを始めます。
　この子も悪ガキではなく、単に親離れの遅い甘ったれちゃんです。

　ちなみに、カイツブリと同じ日に生まれたバンの子は、親鳥のすぐ近くへ寄っても追われることはありません。下は、親鳥がヒシのいずれかの部位を食べているのを勉強中？見ているバンの幼鳥です。

バンの親子　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市

カイツブリ　爆走中の幼鳥　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市

　爆走中のカイツブリの幼鳥。たぶん、甘ったれちゃんとは別の個体です。空を飛ぶための特訓中なら、拍手を送りますが、この子がとんでもない悪ガキなんです。

　池に２羽コガモが来ました。浮島の雑草の中でひっそりと休んでいます。よほど真剣に浮島の草の奥まで見ないと、存在すら分かりません。実は、私も１羽は確認したが、２羽目は見つけていませんでした。２羽いると分かったのは、悪ガキの行動のおかげなんですが・・・。

　カイツブリの幼鳥が爆走しています。しかも、直線にではなく弧を描いて爆走しています。（下の画像）飛んだ方が速いのですが、飛ばずに走るのには理由があります。
　カイツブリの前方に青い波が見えますが、これはコガモが逃げている航跡です。コガモも飛んで逃げればいいのですが、始めは水面を走って逃げます。それで、追うカイツブリも水面を爆走します。

　悪ガキカイツブリっ子は、自分より体の大きなコガモを１度ならず、数度追い回しました。コガモより大きいカルガモや雑種ガモを追いかける行動は一切しないのに、なぜかコガモだけを追い回します。
　
　浮島の雑草の中でひっそりと休憩していたコガモに、悪ガキカイツブリっ子がくってかかり、驚いたコガモが浮島から飛び出すと、後を追いかけ爆走。その理由は分かりません。宿題が増えました。

カイツブリ　爆走中の幼鳥　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市

　コガモが飛んで逃げれば、カイツブリは追いつけませんから、この爆走は終わります。それで一件落着かと思いましたら、水面に浮かんでいるコガモめがけて再び爆走開始。この池で、一番乱暴な、理由の分からない行動をこの悪ガキカイツブリっ子は取っています。
　この行動が何日も続くのか、宿題と言うより、ちょっと見ものです。

　今日は、悪ガキの行動の他は、何も楽しいことは起きませんでした。稲刈りが始まりましたので、水田への水は不要になりました。池は水田用水の溜め池ですから、川から池へ取り入れる水も止められました。それにヒシが水面の９割を覆っていますから、高温な日々が今後も続き、降水もないと、池の水が腐敗を始めそうで、気がもめます。

カイツブリの幼鳥に追われて逃げる　コガモ　　　２０１２年９月１５日　　長野県　松本市


９月１８日　若い実

雑種ガモ「コーヒー」　　　２０１２年９月１８日　　長野県　松本市

ヒシの若い実　　　２０１２年９月１８日　　長野県　松本市
　今日は千鹿頭池で「悪ガキカイツブリっ子」の再チェック。やはり今日もコガモに意地悪をしていました。どうもこの子だけ変な遊びを覚えてしまったらしい。
　他にさしたる事も起きず、暇な鳥見でした。

　バンが何を食べているのか、動物食か植物食か、それとも両方か、まだよく分かりません。

　カルガモと雑種ガモ、あわせて２０〜３０羽はヒシの原で盛んにヒシの中へくちばしを差し込んで採食をしています。何を食べているのか、一度でもくわえ上げたら速写するつもりですが、まだチャンスに出会えません。

　おそらく実ったばかりのヒシの実を食べているのだろうと想像しています。傍証の写真ですが、上の「コーヒー」の腹に付いているのが、まだ黒くなっていない若いヒシの実です。これを食べているのでしょうか。

　２時間いましたが、今日はこれ以外雑記を書くネタも拾えませんでした。

雑種ガモ「五人組」の１羽　　　２０１２年９月１８日　　長野県　松本市

９月２４日　しろちゃん、ラブラブ

アキアカネ　♂　　		 　今日は１時間半ほどの鳥見でした。短時間でしたが話題は拾えました。鳥見に外へ出かければ、何か見つけられますから楽しいです。

　赤トンボの勉強も少しずつ進めています。今日はアキアカネの♂です。胸部の黒条や顔面の色など識別ポイントを少しずつ覚えると、識別力がちょっとだけアップします。しかし、アキアカネの♀は、成熟中の♂なのか、それとも♀なのか、この識別でつまずいています。

　アキアカネに似たリスアカネを混同していましたが、リスは翅の先端に褐色斑があると覚えてからは、２種の識別は楽になりました。ところが、リスアカネによく似たコノシメトンボとリスの違いはとなると、むむむ・・・。たかが赤トンボですが、初心者にはむずかしい。

　アキアカネに似たヒメアカネは顔面が白く、マイコアカネは顔面が青白く・・・というわけで、トンボの顔面を双眼鏡でみつめ、トンボとにらめっこ。暇人と言おうか変人と言おうか。

　ヒメアカネは確信を持ってこれがそうとまで識別出来ず、マイコアカネは、らしい個体もまだ見つけていません。松本平には７、８種の赤トンボがいますから、この秋だけで、全部を識別出来るようになるのは無理みたいです。

　さて、鳥見の話題。カイツブリの親鳥は風切羽が揃いましたので、翼の試運転中です。先日幼鳥がしていたように、水面を走り、ふわっと浮き上がり、そして着水を数回しました。

　このカイツブリの成鳥、近くへコガモが寄ると、幼鳥同様にちょっかいを出しました。この池のカイツブリは、親子でひねくれ者のようです。なぜコガモを追いかけるのか、理由はわかりません。
　ちなみに、コガモは１羽になってしまいました。

カイツブリ　成鳥　　　２０１２年９月２４日　　長野県　松本市

　さて、本題です。池に「五人組」と名付けた５羽の雑種ガモがいます、ほとんど５羽でグループ行動をしています。彼らは０９年にアオクビアヒル（？）から生まれた雑種ガモだと推測します。「五人組」は、「しろちゃん」と兄弟姉妹の関係にあると考えています。確たる証拠はありませんが。

　１時間半の鳥見ではさしたる事も起きないだろうと、「色男バフ」を追っていました。例の左右で初列風切の色が違う雑種ガモです。翼を開いた瞬間を、しっかり撮影するという宿題がまだ終わっていませんので。

　すると「五人組」が「しろちゃん」に求愛行動の反り返りを始めました。そろそろつがいを形成する時期ですから、求愛行動に不思議はありません。ただ、遺伝子の叫びなのか、血統のなせる技なのか、雑種ガモ「五人組」はたくさんいるカルガモではなく、雑種ガモの「しろちゃん」にせまりました。「しろちゃん」がつがい形成の時期に入ったからでしょうか。

　犀川白鳥湖で、アイガモが、たくさんいるマガモやカルガモには目もくれず、ひたすらアオクビアヒルを追い回し、交尾に及んだ経緯はかって雑記帳に書きました。やはりアヒルの遺伝子がアオクビアヒルを選択させたのか。千鹿頭池は雑種ガモですが、それでも同様の行動が見られました。

　「しろちゃん」が選んだのは「ガード君」でした。彼については、過去の雑記に書いてありません。

　「ガード君」は「五人組」の１羽です。「しろちゃん」が抱卵中に採食のため茂みから水面へ出ると、「五人組」の４羽が交尾を迫って追い回しました。
　このとき、４羽と「しろちゃん」の間に割って入り、、懸命にガードしたのが「ガード君」でした。当時、おそらく彼が「しろちゃん」の連れ合いだろうと推測しました。推測はたぶん当たっていたと思います。（「ガード君」は「五人組の三郎」の別名です）

　今日、「ガード君」が求愛行動を、５羽の中で最後までしました。最後に、冬期よく見られるカモが交尾する前段行為、２羽が揃って首を縦に振る行為が始まりました。まだ交尾には至りませんが、つがいが形成まで進んだと思います。婚約成立というところでしょうか。

　「しろちゃん」は昨シーズンの相手を再び選んだと推測します。

　ところで、オシドリはひとシーズン限りのつがいで、次のシーズンの相手は替わると、様々な本やブログに書かれています。たぶん、それは正しいのでしょうが、どなたが研究し、どのくらいの数のつがいでそれを実証したのか、勉強不足の私は知りません。

　物理学の場合、誰かが論文を公表すると、その成果について、別の研究者が成果が正しいか追認の研究をし、成果の正しさが確立されます。

　オシドリの場合、はたして追認の観察なり、研究が行われたのだろうか。これも私は知りません。オシドリの中には、同じ相手を選択するケースだってあるのではないだろうか。

　逆に、同じカモ目カモ科の白鳥は、つがいを解消せず、どちらかが死ぬまでつれそうと言われている。しかし、「あづみ」の連れ合い「ゆうき」は１羽だけで飛び立ってしまった。そんな例もある。

　オシドリのケースを横びいて、カモは繁殖後つがいを解消し、次のシーズンの相手は別とされがちですが、はたしてそれは正しいのか、これも勉強不足の私には分かりません。
　繁殖期が終了し、つがいを解消しても、次のシーズンに再び同じ相手を選択するケースはないのだろうか。

　らぶらぶな「しろちゃん」を見て、こんなことを考えてしまいました。来季に同じ相手で再び産卵したら、また黄色いヒナが誕生するのだろうか。この池で、ずっと観察を続けねばなりません。先走っていろいろ想像してしまいます。

　ともあれ、らぶらぶ「しろちゃん」に幸いあれ。下は愛の儀式中の「しろちゃん」と「五人組三郎（ガード君）」
　
８月分　　 １０月分